ねぎ子のブログ

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世界遺産リスト⑫ 莫高窟 ~敦煌をめぐる旅~

西安からシルクロードをラクダに乗って西域へ移動…という時代ははるか昔に終わりました。よって、敦煌まで飛行機でひとっとびです。びゅーん。雪残る空港へ到着。

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敦煌は、甘粛省の西端に位置する砂漠の中のオアシスの街。とは言ってもやはり水は乏しい場所です。また、敦煌は、昔の西域の玄関口として重要な都市でした。漢民族を始め、様々な民族が支配をめぐって争ってきた場所です。
因みに、敦煌を訪れる観光客は日本人が多い。また、敦煌の人にとって一番有名な外国人は井上靖だそう。なんでだかは明白ですね。

では、シルクロードの交差点である敦煌の観光地(中国語的には、景点ね)をめぐりましょう。
 

 

  • 莫高窟(世界遺産)
    砂漠の中に突如現れる巨大な岩壁のキャンバス。砂漠の山、鳴沙山の東の崖に位置する莫高窟は、言わずと知れた中国最大の石窟遺跡です。366年に一人の僧侶が石窟に仏像を掘ったことが起源とされ、その後なんと1000年に渡って様々な民族がこの石窟に仏教芸術を残してきました。
    今まで見た石窟から大仏がたくさん彫られているのを想像していたが、この石窟は全く異なる様相だと感じました。f:id:s_iidada:20130129135549j:plain入口
    莫高窟の特徴は何といっても、その美しい壁画ではないでしょうか。え、本当に1500年も前に描かれた絵なの?と疑うほどに美しい色彩が残る仏教絵画には度胆を抜かれました。もちろん素晴らしい仏像も彫られていますが、我はその仏教をテーマとして描かれた絵画の艶やかさに一番驚きました。中の写真が撮れないのは残念だったが、この美しい色を残すためには絶対必要。納得。f:id:s_iidada:20130129152854j:plain
    莫高窟には現在734もの石窟があるそうな。見られるのはその一部。この写真、壁にアパートがあるみたいよね。それぞれの石窟の入口にドアがついていて、保存状態などによって見られる石窟が決まっているのです。ガイドさんが案内してくれたけど、いっぱい鍵を持っていて、ひとつひとつ石窟を訪問して中に入るの。なんだか不動産屋とマンション回ってるみたいな感じでした。
    この写真は、有名な第96窟。莫高窟のシンボルである九層の楼内には、巨大な弥勒菩薩がたたずんでいます。その高さは約35m、世界No3の高さだそうです。何でもバーミヤンの大仏が破壊されたのでNo5→No3に昇格したらしい。
    f:id:s_iidada:20130129154059j:plainいえい。
    また、第17窟という小さい石窟も見ることができました。ここは井上靖の小説「敦煌」の中で、最後に西夏の侵攻から宗教芸術品を守るため主人公たちが文書を隠したとされる石窟。本当に小さい石窟だったけど、ここには5万冊もの文書が隠されていたそう。その後列強諸国が持ち去ってしまい、残されているのはわずか1万冊というのはとても残念です。映画敦煌をみたところ、ばっちりこの石窟が映っていました!
    <今回みた石窟番号>16,17,29,96,130,148,231,329,427,428
     
  • 鳴沙山 / 月牙泉
    敦煌市内の南に位置する広大な砂漠の山。流砂の音が絶えないとかで、この名前がつけられたということ。f:id:s_iidada:20130129162743j:plain
    あぁ、ついにシルクロードへ来たな、という感じ。ラクダ50分コースを選択し、山の上に登ります!ラクダと自分の影法師がゆらゆらと見える。。。シルクロードを歩く行商人(?)になった気分!
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    山の頂近くについたところで、ラクダさんは休憩。山のてっぺんからの砂滑り(15元/1滑り)の遊びがあったので、早速参加することに。まず自分でさらに山の頂まで登ります。これが意外と大変だったのだが、見よこのてっぺんの絶景!
    f:id:s_iidada:20130129171921j:plain晴天。
    そしてここから頼りない板の上にのって、一気に砂山を滑り下りました。叫びながら滑ったのが失敗。口の中が砂だらけになったが、でも痛快でした!
    f:id:s_iidada:20130129172136j:plainこんな感じ。
    鳴沙山の中には、三日月形の泉があります(月牙は中国語の三日月の意味)。年々規模が小さくなっているそうだが、漢の時代から一度も枯れたことのない湖だそうで、写真を見ると美しいセルリアンブルー。が…なんと冬のため凍っていました。チーン。でも空が綺麗だから満足じゃ!f:id:s_iidada:20130129175734j:plain
     
  • ヤルダン地質公園(魔鬼城)
    ここは敦煌市内から遠く離れた、ウイグル自治区との境界近くの西端のゴビ。細かい砂ではなく、小さな石の世界です。ここの特徴は、強い風によって削られ風化した、様々な奇怪な形の岩。それぞれ名前がつけられていますよ。あと、ここは、チャンイーモウ監督の映画HEROが撮影されて一躍有名になった場所。トニーレオンがこの岩の上で戦っていました。
    ★孔雀&孔雀の卵
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    ★艦隊出海
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  • 漢代長城(世界遺産の一部)
    万里の長城として有名なのは、北京の郊外にある明時代のものですが、こちらは元祖長城。漢の時代に作られました!土と植物で作られていたのですね。
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  • 玉門関
    古代関所の一つです。城門の跡が今も残ります。ここを出発する人、帰国する人、それぞれの思いが今もこの地に残っているように感じました。f:id:s_iidada:20130130151708j:plain
    春風渡らず玉門関。中国西の最果てです。
     
  • 河倉城
    西の果てを守る軍隊の兵糧を蓄えた場所も、跡地が残っていました。ここで出土された種は、なんと今植えてもまだ発芽するそうです!2000年の歴史を超えて、すさまじい生命力。f:id:s_iidada:20130130154755j:plain
     
  • 陽関
    西の方 陽関を出ずれば 故人なからん
    中学生のとき勉強した、王維の詩に歌われたこの関所。
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    今は写真左側の山の上にのろし台のみが残っている状態ですが、博物館が建てられています。
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    こちらは博物館中の張騫の銅像。漢の時代に匈奴討伐のため、西域の大月氏と手を結ぶべくシルクロードを出発した張騫。結局この話は失敗となるも、彼は西域から様々な文化を中国に持ち込んだ人物です。まさにシルクロードの開拓者。かっこいいですね。
     
  • 敦煌古城
    例の井上靖原作の「敦煌」の映画を日中共同で作成したときの映画セット。そのまま映画村として残っています。その後も様々な歴史映画、ドラマで使われているようですが、観光地としては、かなりさびれた印象を受けました。。。
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  • 敦煌博物館
    新Openした敦煌の博物館!これが意外にとってもよかったです!敦煌の地で覇権争いをした諸国が、歴史の流れにそって説明されていて、各時代の文化もよくわかるし、敦煌旅行の総まとめとしてとても勉強になりました。
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さて、長いシルクロードの旅もついにおしまいです。
西安・敦煌は、シルクロードの起点として外国の文化の影響を受けながらも、だからこそ中国独自の文化もまた色濃く残されている場所だと感じました。本当に、歴史的遺産の宝庫です。当時のシルクロードの行きかう人々の姿が見えるようでした。 
中国の文化形成がどのようになされていったのか、もっと知りたいと思いました。