世界遺産リスト㉕ 山水画の原風景 黄山 ~安徽省旅行~
清明節を利用して、久しぶりに世界遺産を訪れました。中国を代表する山、黄山です。
1990年に世界複合遺産に登録されました!黄山といったら有名なのがこのフレーズ。
「五岳归来不看山,黄山归来不看岳。」
「中国五大山に行ったら、もう山を見る必要はない。黄山に行ったら、もう五大山も見る必要はない。」
つまり裏を返せば、黄山を見なければ、それは山を見たことにはならないということである。
この天下第一の黄山にのぼり、山頂で泊まってご来光を拝むというのが今回の旅の目的その①。
旅は思いがけないところから始まる。今回はツアーに参加し、上海→杭州まで新幹線、そこからバスで黄山まで向かうという旅程。しかしまず朝、我の分もチケットをもった友人がまさかの駅に現れないという事態に、ねぎ子はパニックに。しかし負けてはいられない、時間は刻一刻と過ぎてしまう。涙を流しながら、この1年半で中国で培ったゴネ力(ネゴ力ではない気がする)により、チケットなしで新幹線に何とか乗り込んだ(ちなみに既にお金は払ってちゃんと席確保していたから、キセルではない)。もうここで、旅のエネルギーの8割使った気がするぜ!
そして一人でツアーに参加し、バスで一路黄山へ。しかし、謎の交通事故多発により、なんと6時間もかかってしまい、山の観光バスの営業時間ギリギリの17:30に山麓へ滑り込むことに。なお、一応補足しておくと、ここで例の友人も飛行機にて合流。
観光バスをおり、これまたロープウェイ運行ギリギリの時間に滑り込み成功。
このロープウェイで、雲谷寺という場所から、一気に山頂近くの白鵝嶺まで上がれます。普段は3時間くらい並ぶといわれるロープウェイも、さすがに営業終了間際にのる客は少なく、全く並ばず乗れました!
薄暗くなりつつありますが、ロープウェイからは奇怪な岩を見ることができて楽しめます。
今にも落ちそうなところで、絶妙なバランスを保つ岩山。まるで鏡餅の上のみかんみたいでした。黄山には72もの峰があり、それぞれに名前が付いています。最高峰は1864mと、今まで行った雲南省等の高地に比べると大したことない標高ですが、雄大な山の中に身を置くと、実際の高度よりももっと高く、世俗を離れた場所へ来られたような気持になります。ゆえに、この山は仙人の住む山と言われるのかも。
さて、暗くなる前に、急いで山の上を観光します。こちらは遠くに見える、観音峰。にょろにょろのように伸びた岩が見えますね。まるで観音様のようなので、この名前です。
この距離で見ているととても細くて、今にもぽきっといってしまいそう。その分ありがたみのある峰です。
ここまでくる道のり、エネルギーも時間も使った分、たどりつけて本当に嬉しかった!しかし暗くなる前に山中のホテルにもたどり着かねばならないので、この余韻にひたるまもなく、急いで移動を続けます。
黄山は階段だらけ。よく整備されているのだが、この階段の多さには太ももも悲鳴をあげかけます。乳酸菌がたまっていくのを実感できる。
そして黄山の代表的なSPOTである始信峰へ。標高1668m、ここは、詩仙李白が認めた黄山の景色でもあります。李白はここを訪れ、その絶景に初めてここが天下の名景であると確信した、というようないわれがあり、この名前がつけられたそうです。
天気は少し曇っていて時間も遅くなってしまったので、日の入りは見られないね、とガイドさんは言ってたたけど、ここ始信峰からは、うっすらとオレンジがかる空の色もとらえることができました。美しかったです。ここでひとつ詩でも読めたらかっこいいのだがねぇ。でも、李白と同じ景色見られたと思うと嬉しいです。
そして、ひとつの幹が途中から2つに分かれている、という珍しい松を見たころには、すでに月が出始めた。もうひと踏ん張りです。
19時頃、ようやくホテル到着。
ここはご来光を見られる展望台にほど近い、4つ星ホテルです。と言ってもご多分にもれずシャワーからは茶色い水が出てきましたが、数分後には透明のお湯も出たし、暖房もあったし、TVもフロントに電話して電池変えてもらったらついたので、まぁよしです。
ちなみに、ホテルに泊まるコストをセーブしようという若者たちは、ホテル前の空き地でテントを借りてキャンプ。かなり寒いと思うけど、チャレンジャーですね。そしてこの空きスペースを無駄にせずテントレンタル業で稼ぐホテル、がめついです。
こうして、1日目の長い旅が終了。天気予報では、翌朝70%の確率でご来光を見られるということ。ここまで苦労してやってきたのだから、何としてでもご来光を見るのだ!と意気込んで、就寝しました。
2日目朝4時50分起床。晴れ。やったー!
日の出は5時52分ということで、5時半にホテルを出発し、近くの清涼台という展望台へ向かいます。
ん? なんか既に空が明るい気がする。これってもう日が出ちゃっているんじゃないの?遅かったんじゃないのー?と疑りつつ、急いで向かいます。
それにしても…中国人もご来光見るのが好きなのね!すごい人人人。全然前が見えない!!
こんな感じです。でも、あきらめません。身を乗り出し、「ね、ちょっとだけ替わって」とか言いつつ、日の出を待ち伏せします。
さて。。。
む?あそこの山の上にひょっこり出てきたのは。。。
キターーーー!!ついに、日の出とご対面です。ありがたや、ありがたや。
この丸い太陽がのぞいた途端、空の色が変化します。初めてご来光を見ました。しかも、中国一番のご来光(と思う)です。
太陽が70%くらい出たところで、中国人たちがホテルに戻り始めたので、真ん丸の太陽をじっくり見ることができました。色々あったけど、ここまで来られてよかったな、としみじみと思いました。
30分もしないうちに、この何とも言えない美しいグラデーションの空色は消え、すっかり朝になりました。朝食まで、ホテルの周りを散策。
ホテル前の広場から見えたのがこちら、夢筆生花という一本松。岩の上にちょこんと松がのっているように見えます。
へぇ、面白い光景だなぁと感動しながらあとでガイドブックを見てみたら、なんとこの松はプラスチックらしい!ガーン。70年代に松が枯れたので、今はかわりにプラスチック製の松をおいている、と。なんで中国はこうゆうことをしてしまうんだ!と少し悲しくなり、でもまぁこれこそ中国かしら、なんて思ったり。
そうすると、急に前日ロープウェイから見えた鏡餅のみかん石も、ニセモノをボンドでくっつけておいてたりして、とかあらぬ疑いを抱いたりしてしまった。ははは。
知らぬが幸せ、ということもありますね。
さて、混むのを避けるため、朝食を食べたら始信峰経由で、すぐにロープウェイへ向かい、山を下ることに。この判断が大正解!
これが、下った先のロープウェイ乗り場。朝から、すでにこれから登ろうという中国人観光客でごったがえしています。すでに3時間は待つということ。ひぇ~~。
でも、ここまでしてでも見たい、歩きたいのが黄山なのでしょう。
今までみた他のどの山より、一番山らしい山でした。冒頭の「黄山归来不看岳」に納得です。でもね、ねぎ子としては、これからも色んな中国の山は見ていくつもりですよ。こんなに見どころたくさんの大陸で、「これだけ見たらもう十分」なんてこと、ないよね。
さて、山を下り、世界遺産の村、宏村へと旅は続きます。